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ブンジ君は肝臓を病む若猫さんです。普段は自宅で皮下輸液もしています。
これまでも他の病院での治療を経たのち現在の主治医に出会ったということです。
ブンジ君への深い理解のもと在宅での静脈点滴を受けることになりました(当時5歳)。
またホメオパシーによる治療を取り入れながら、現在(6歳)も肝臓病の治療を続けています。
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「自宅で24時間の静脈点滴はリスクが高い、素人が手を出す範ちゅうを超えていると・・・。 私自身もやってみて、誰にでもできることではないと思っています。何より介護人の根性と火事場のバカ力のような度胸が必要です。(笑)」まるまる |
と、振り返るまるまるさんですが、在宅での静脈点滴は患畜(&看護者)の負担が増えるだけでなく、
獣医師のサポート(24時間対応が必須)も必要です。
にもかかわらず、最近では高齢猫さんへも機材持込で実施されているケースがあります。
それだけ、猫の通院へのストレスへの理解と愛情が深まっているのだと実感します。
18年前、mooの大病の時には静脈点滴が出来ない先生もいました。
いまでも地方の年配の獣医さんなどでいっさい静脈点滴はしない(できない?)という
回答があったという報告があって少しびっくりしたことがあります。でも、
通院のストレスと治療のリスク・・・どう判断するかは難しいことですが、
皮下輸液と同様に広く治療の選択肢としてなっていくのではないかと思います。
◆◇◆ 24時間静脈点滴の機材と方法 ◆◇◆
下記は自宅点滴期間中の日記のダイジェスト版です。
まるまるさんの詳細な記録はこちら別ファイルでご覧下さい。
その日を振り返るまるまるさんの後日談を読むことができます。
◇ ブンジの記録 ◇ | ||
ブンジの場合、尿の間隔は1時間のときもあり、3時間のときもありバラバラ。 閉塞でアラームがなることは一度もなかったが、空気混入は何度もあった。 ブンジの病室畳部屋に決め、同居猫さくらは入れないようにした。 夜はスタンドの明かりだけにしてブンジがよく寝れるようにしたが手元に部屋を明るくするスイッチがない為、とっさの時用に懐中電灯を用意しておいた。 投薬は1日2回、利胆剤とラクツロース(アンモニアを抑えるシロップ)。 |
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4月27日
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14:30頃 点滴開始、ヘパリンをフラッシュするが入らず。病院へ連絡。もう一度やってみてダメならば自宅へ来てくれるとのこと。再度挑戦し、フラッシュできた。結構力がいった。血液が固まりかけていた。 カラー装着の為、横になって眠れていない。時々針がついている脚を振る。 |
点滴開始 |
4月28日 | 1:00 簡易トイレの差し入れを始める 食:ドライ少々 中断:2回 尿:12回 便:1回 嘔吐:なし |
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4月29日 | 8:25 中断。元気がないのでカラーはやめる。嘔吐。 食:朝はまったく食べず、夜シーチキンドライ少々 中断:2回 尿:13回 便:1回 嘔吐:1回 まったく元気がない様子。 |
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4月30日 | 12:15 途中経過の血液検査のため病院へ。 熱39.84度、GPT:679 肝炎のための発熱ということで抗生剤を輸液に追加。 輸液量20ml/hに増やす。 食:朝×、病院から帰宅後ドライ5口くらい、シーチキン・ミルク少々 |
通院 血液検査 |
5月1日 | 食:朝ドライ少々、4時間ごとシーチキンミルク少々、夕方a/d少々 中断:2回 尿:13回 便:1回 嘔吐:なし まだ熱っぽい、元気なし。 |
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5月2日 | 食:朝ドライ△、シーチキンミルク少々、夕方ドライ少々 中断:2回 尿:13回 便:なし 嘔吐:なし 朝は熱が下がっていたようだが、夜はまた熱っぽい。少し動けるようだ。 |
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5月3日 | 14:00頃 往診。熱:39.1度 GPT:454 ヘマトクリット:27% 見た目ではわからなかったが輸液が漏れていたので、留置針を左前脚に付け替え。カラー装着。 食:ドライ△、シーチキンドライ 中断:3回 尿:13回 便:1回 嘔吐:なし 往診時、暴れた。新たな留置針をつけたが、まるで採血の時に噴き出すように出血した。静脈点滴をしていると血圧が上がるとのこと。投薬を嫌がるようになる。点滴中はじっとしている。 |
往診 血液検査 |
5月4日 | 食:ドライ△ シーチキンミルク 中断:2回 尿:16回 便:1回 嘔吐:なし 点滴中はじっとしている。時々固定されている辺りを噛んだり舐めたりする。 |
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5月5日 | 9:00 中断しようとヘパリンをフラッシュするが、入らず。 別のシリンジのヘパリンに代えたら入ったが、ブンジが嫌がる。 輸液漏れはない様子。病院へ連絡。担当医が休みのため他の獣医と相談。 少し様子を見ることに。 12:00 中断。ヘパリンはスムースに入った。今回は嫌がらず。 13:20 中断。ヘパリンは入ったがブンジが嫌がる。病院へ連絡し、往診はできないと言われたので急患扱いでとお願いし、病院へ行く。病院へ到着後、研修医がすぐに翼状針から確認するが血液が戻らず、留置針を付け替えるため一時間以上待たされる。 15:15 翼状針のキャップがはずれていたがかまわず再開。 食:朝ドライ○ 夕方シーチキンドライ、ミルク 中断:4回 尿:12回 便:なし 嘔吐:なし さらに針がはずれないよう注意を払うが投薬の際、暴れるのでそれを抑えようとすると難しい。 |
通院 |
5月6日 | 13:45 腕が腫れて輸液漏れのためブンジが鳴く。病院へ連絡しすぐに看てもらえるようにお願いする。担当医は今日も休み。ブンジは痛がっているがまた一時間以上待たされる。留置針を後ろ脚につけたいが自分で噛む可能性があるので、右の前脚の前回よりも上の場所に留置針をつける。3日しか休んでいない血管なのではずれやすいと注意を受ける。 16:00 再開。 20:15 中断しようと見ると輸液がもれてテープの周りが濡れている。 食:ドライ△ 中断:2回 尿:11回 便:なし 嘔吐:なし |
通院
点滴 |
5月7日 | 9:00前 病院へ到着するがすでに混んでいる。 血液検査の結果、GPT:294、GOT:105 ヘマトクリット:16% 黄疸もないので留置針をはずし、静脈点滴は終了。 食:ドライ少々 尿:不明 便:1回 嘔吐:1回 夕方嘔吐して元気がない。毎日皮下輸液しなければならないが、オットの帰宅が遅くてできず。静脈点滴を10日間続けた為の貧血がひどく、ふらついている。 貧血が改善されるまでさくらとは隔離し、引き続き和室で療養させることにする。強制給餌も開始。静脈点滴の薬剤入りの輸液がまだあるのでそれを皮下にしても大丈夫とのこと。一日120ml |
通院 血液検査 皮下輸液へ移行 |
5月10日 | 病院にて血液検査。GPT:200、GOT:61、ヘマトクリット:22%、体温:39.4度 GPTは通院してから一番低い。 病院では興奮しているので体温が上がっているようなので自宅で体温を測ってみるように言われる。 |
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5月14日 | 病院にて血液検査。GPT:191、GOT:73、ヘマトクリット:26%、体温:39.1度 体温を自宅で測るが上手くできなかった。 |
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5月19日 | 薬剤入りの輸液がなくなり、リンゲル液のみになった。 | |
5月21日 | 病院にて血液検査。GPT:167、GOT:60、ヘマトクリット:29%、体温:38.1度 ヘマトクリットが正常値(30〜36)に近づいてきたので次回の通院は2週間後。 |
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ご飯について:『シーチキンドライ』はドライフードを砕いてそれにブンジの好きなシーチキン(塩分や野菜スープが入っていないもの)を混ぜたもの。l 『シーチキンミルク』は猫用のミルクにシーチキンを混ぜたもの。l本来ならば低蛋白食が基本ですが、点滴に栄養(ビタミンやアミノ酸)が入っているとはいえ、口から栄養を摂らなければならないので好物をあげていました。 ドライはいつでも食べられるように水と一緒にゲージの中に入れて置きました。 |
ブンジ君の静脈点滴はその期間中に緊急を含めて往診1回、通院を3回している。
心配された液漏れや、肝炎による発熱などのトラブルがありけして順調とは言い難い。
在宅とはいえ家でゆったりというわけではなく、ブンジ君は通院も余儀なくされ
看護師まるまるさんはブンジ君につききりで2週間ちかくほとんど睡眠を取っていないはず。
そして同居猫のさくらちゃんにも寂しい思いをさせたと振り返っています。
長い2週間だったろう・・・
でも、またやらなければならない状況になったら、ブンジの状態を看て
できそうだったらやると思う・・・。 byまるまる
できるものなら、ブンジ君が再び静脈点滴を受けると言うようなことのない
穏やかな日々がずっとずっと続いてくれることを祈っています。
mooの治療方針を決めるに当たって大変参考になる貴重な経験を分けて頂きました。感謝。