1:静脈点滴
2:腹膜透析
3:食道チューブ
4:胃瘻チューブ
老猫健康チェック
+++++ 老猫の健康を守るのは、注意深い日々の観察から +++++

食道チューブの装着
チビちゃんの在宅医療その2 by かずかずさん

1.食道チューブとは・・・獣医師の解説
チビの全抜歯手術をした際、最初は自分からはごはんを食べられないだろうからと食道チューブを装着することを、お医者様から提案されました。
「食道チューブ??」聞きなれない言葉に一瞬ギョッとしてしまいました。お話を聞くと、、、首元を切開し、気管に食道チューブを通し食道から胃のあたりまでチューブを挿入する、ということなのです。ごはんは流動食を(今までのK/d缶を水と混ぜて)あげてください、とのこと。!!首元に穴?!「チビは痛くないんですか?」「気管等、身体に支障はきたさないんですか?」「自分で外したり、外れたりして問題はないのですか?」「どうしてもつけなきゃダメですか?」とにかく、質問攻めにしてしまったように思います。
「麻酔が効いている時(抜歯手術後)に行いますので、痛みはないです。」 「気管等の内部の器官や皮膚に開ける部分は 自然治癒でどんどんふさごうとするため、特に心配することはないと思います。」「自分で外したりした場合でも2・3日で自然と塞がり、元通りになるので問題ありません。」「チューブを装着するにあたって、チビちゃんに痛みはありませんし少し違和感はあると思いますが、全く食べないということが解消されるので、体力維持や投薬の面でも、チューブを取り付けられることをお勧めします。」
こんなような話をしてくださったように思います。
2.チューブの装着
全く食べてくれない状態が続くことの危険性を考えチビには本当に申し訳ないけれど食道チューブを装着してもらった方がいいなと思い装着していただくことにしました。
手術を終え、お迎えに行ったと時チビの首からは、巨大なストロー状のチューブ。。。シリコンのチューブで半透明、グリーンのラインが3本入っているチューブでした。首元に開けられた穴から大体20センチくらい外に出ています。(写真に少しだけ写っています) 首元のチューブが出ている部分は、チューブが入り込んだりしないよう糸で何箇所か固定されていました。チビの皮膚が数箇所縫われている状態で。。。
・・・十分痛そうじゃないか!!そう思い、可哀想になりましたがこればっかりは仕方ないし、何よりも元気になってもらって早くこのチューブを取り外したい、と思いました。見た目は、かなりカワイソウ感があり、気品も何もあったもんじゃないんです。だから、チビの気品を守るため(!?)人の目には出来るだけ触れささないでおこうと病院の待合室ででも、旦那さんと二人チビを囲って座ったりしてました。^_^;
3.給餌と管理
針のない大きな注射器(シリンジ)からごはん(流動食)をチューブに通してお腹に注入するのですが、空気も一緒に入ってそれが気持ち悪いらしくそのまま嘔吐することが何度も続き食べてくれない→ 体重が落ちる→ 体力が落ちるという、悪循環の繰り返しもありました。
でも諦めずにごはんをあげ、チビも頑張ってくれたので確実に栄養を体内に入れてあげることができましたしチューブからお薬もあげられます。(吐いた場合は、休息の後、いちからやり直しですが・・・。)チューブからごはんをあげたあとは、水をあげてチューブが綺麗になるようにします。そうしないと、残っているごはんから雑菌が繁殖し感染症の原因になることもある、とのこと。
水を入れてあげると、チューブの中に水がとどまってしまい、その水を完全にお腹の中に入れるために、人の赤ちゃんにしてあげるように縦抱き(わかります??)にして、お腹をポンポンとたたいたりあやしたりして、水が体の中に入っていくようにしました。
首元のチューブからの感染症を予防するために抗生剤の飲み薬を処方していただきました。(腹膜透析と同時進行の際は、兼用で2種類いただいてました。)それと、チューブとチビの体の接続部分には「エルタシン軟膏」(抗生物質入)を毎日2・3回塗っていました。
装着したのが初夏だったので一時期は、首元が少し膿んだりして本当にかわいそうでした。毎日軟膏を塗る際に、エタノールを染み込ませたパフやティッシュで膿を取り除いてました。感染症にはかからなかったので、よかったですが。。。
4.その後
「ごはんをチューブであげると、チビがよく吐く」ということを報告した時に、お医者様がおっしゃったことは「どうしても空気が一緒に入ってしまうので、気持ち悪いのでは」ということと「チューブを通してお腹の中に入ってきた時に胃がボワッと瞬間的に膨張するが、その時の刺激が  突発的に吐き気を誘発するのでは。」ということでした。なので、ごはんは冷たすぎず熱すぎず人肌のものをあげてください、と言われました。言われる前から一応そうしてたんですけど。。。
そして、、、k/d缶にシニア缶を少し混ぜたり、鰹節をふりかけたりして少しずつ自分でごはんを食べてくれるようになったので食道チューブを取り外すことになりました。
取り外しは、本当に簡単で首元に取り付けてある糸を取り外し、チューブをスルスルと取り除くだけです。チューブが通って穴があいていた首元は3日くらいで、みるみるうちになくなって元通りに。その間は、同じように軟膏を塗って、包帯を巻いていました。
本当にあっという間に元通りになったので自然治癒力ってすごい!と感心しました。
チビは、2度食道チューブを装着したのですが見た目は本当に可哀想なので、こちらが辛くなり「早く取り除いてあげたい!」とよく思ったものでした。
でも、チビが自分でごはんを全く食べてくれない時食道チューブには何度も助けてもらったので「今チューブを外して、全く食べてくれなかったらどうしよう??」と、食道チューブなしの生活に、恐怖を感じたこともあります。
おそらく、食道チューブを取り付ける時というのは麻酔をかけての手術を行う時に、補足的に行う場合が多いと思うんです。食道チューブを取り付けるために麻酔をかけて手術することはほとんどない、と思います。麻酔のリスクは、老猫にはかなり大きいですし。。。なので、食道チューブは、「食べてくれない場合の安心策」といった保険的な役割を果たすのだ、と思います。

透析・腹膜透析ができる動物病院はなかなかありません。
大学病院などでは、慢性腎不全の老猫では断わられて受けられないことも。
大きなリスクがあるとともに、チビちゃんのように協力的な猫さんでないと難しいかもしれません。
それでも、この腹膜透析によっていっしょに暮らせる時間が確実に長くなったのです。
将来、どなたにとっても選択肢の一つとして、
もっと手近な治療法となる時代がやってくるとそんな気がしています。

この動物病院につきましては老猫介護あてお問い合わせください。関西地区です。

チビちゃんのご冥福をこころからお祈りいたします。

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