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何らかの理由で自分ではご飯が食べられなくなってしまった場合の選択肢のひとつ、胃ろうチューブ。外部からチューブを取り付けるため、強制給餌のストレスが本猫も看護するものも大幅に軽減されます。 (このほかチビちゃんの食道チューブや一時的に行う経鼻チューブなどがあります。) |
ずぅちゃんは悪性腫瘍による口腔内疾患のためご飯が食べられず、食欲があるのにいつも空腹の状態でした。腫瘍そのものの治療(外科的治療、抗がん剤、放射線治療など)は負担が大きく20歳のずぅちゃんには困難な状況でした。それでも一縷の望みを持って大学病院へ。腫瘍そのものへの治療は適いませんでしたが、そこでネット上の診療所*1へ相談した際に教えてもらった胃ろうチューブ(カテーテル)の装着ができないものか提案しました。ずぅちゃんには厳しいのではと難色を示した先生もkobaさんの希望を聞き入れ、その場で装着手術が決定となりました。急な展開に実はkobaさん本人が大きく揺れ動いていたのです。老猫のQOLの維持を目的に、ずぅちゃんが麻酔から覚醒しないリスクを覚悟のうえで決意し、祈りが通じ無事手術は成功しました。ずぅちゃんは頑張りました。 (その手術の様子はkobaさんの日記に詳しく記録されています。11月11日が初めての大学病院の受診日であり緊急手術の日でもあります。) |
若い猫さんの場合には、経口と同様の栄養を十分に摂取しながらさらに根本治療の道を選ぶということも可能となります。体力を極度に消耗してしまう前に検討してみる価値があると思います。ずぅちゃんの場合は腫瘍検査のために主治医から紹介された2次医療の大学病院にて手術を受け、退院後は再び主治医のケアを受けるという治療態勢でしたが、胃ろうチューブの装着そのものは一般病院でも可能なようです。またずぅちゃんは痩せてしまっていたためチューブが定着しにくいとのことで、経過観察を含めた5泊の入院となりましたが、問題が無い場合は当日の入院だけで済むそうです。 以下kobaさんのレポートです。 |
*1 kobaさんが相談されていたのは、老猫介護のリンク集2の一番最初にあるP−WELL内のひよこ診療所のにいあ先生です。にいあ先生の回答はとても分かりやすい語り口と、なにより動物に対する愛情にあふれています。にいあ先生の小さなアドバイスの数々はきっと猫と暮しているに違いないと思わせるものがあります。残念ながらこの相談のログはサーバーの事故で消失してしまって残っていません。 |
◆給餌に慣れるにつれ、時間になると自分から食べたいと催促するようになります。◆ ご飯の後は、お腹も満たされて とても幸せそうな顔をしてくれました。 |
給餌の用意をしているとそわそわしだしたり、準備ができて呼ぶと一目散に膝に飛んで来たずぅちゃん。 | 給餌の後。 お腹も満たされてとても幸せそうな顔をしているずぅちゃん。 |
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2004/11/11に処置を受け、5泊6日の入院を乗り越え、ずぅは私の元に帰ってきてくれました。
それから、12/19の急な旅立ちまで、私たちの日々は穏やかに過ぎていきました。
いろいろ迷いもありましたが胃瘻チューブの処置はずぅにとって最善の方法だった…と思っています。
人間の介護の世界でも、口から十分な栄養が取れない方や、飲み込む時に誤嚥してしまう方などに広く用いられている胃ろうチューブ。外科的手術や内視鏡で簡単に取り付けることが可能です。PEGと呼ばれていますので興味のある方は検索してみてください。また食道チューブのチビちゃんの時と同様に必要がなくなれば外してしまうことによって、短時間で傷がふさがり元通りになります。
ずぅちゃんが体調を崩した12月18日の血液検査の結果はBUN140という高い数字でした。 老猫には多い慢性腎不全をずぅちゃんもわずらっていました。トータルケアの重要性を再認識させられる急変でした。これまで食事のたびに口から出血したり、食べられないことによる飢餓感などからは開放されて、ずぅちゃんのQOLは最期の瞬間まで高く維持されていたと思います。ずぅちゃんのご冥福を心からお祈りいたします。 |