口腔癌(及び口腔にかかわる、顔部扁平上皮がん)で頑張った猫さんたちの記録 

☆印は放射線治療猫さん ★抗がん剤治療 □は外科的処置

ちーちゃん 16歳   

□★ダイアちゃん 15歳

くろちゃん 17歳

ちょびちゃん 18歳

玲君 現役治療中
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ブログ、サイトがなかった猫さんでも 記録お待ちしております。

以下 星史朗君のケース

抗がん剤

<投与した抗がん剤>

白金化合物  カルボプラチン

投与量(150r/m⇒これは犬での最低量とのことです。倍量までは投与可能とのお話しでした。(猫での投与実績はないとのこと)

投与サイクル    ⇒投与は1回/3の計画で、副作用(特に汎血球減少とDIC)に注意しながら進めるということでした。

 

<抗がん剤投与経過>

検査項目

正常値(猫)

投与前

3日後

10日後

20日後

WBCの減少を抑える薬服用

27日後

WBC

550019500/μℓ

1070

970

1120

440

1120

RBC

5501000万/μℓ

680

605

692

860

 

Ht

2445

30

30.5

28.5

38

 

PLT

2176万/μℓ

24

 

20.8

28

24

BUN

2030r/㎗

21

17

29

 

 

ALT

1050U/ℓ

35

34

27

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嘔吐

 

 

下痢

 

 

食欲レベル

 

 

3(強)

(強)

※WBCの減少を抑える薬はロイコンだったと思います

抗がん剤の続行を中止し、チューブ食への切り替えの方向に変更

※(強)・・・強制給餌

 

 

副作用としては、嘔吐・下痢・食欲不振がまず出てくるようです。

WBCに関しては、遅れて減少があらわれるので、要注意です。顕著に表れる場合では、1度目の投与で2桁になってしまう場合もあるそうです。また、副作用は蓄積されるそうで、1度目に嘔吐がなかったから次回もないということは言えず、回を増すごとに重症になっていくのだそうです。

 

化学療法にしても放射線療法にしても、感染症の心配があるため、胃ろうや食道チューブを設置しての治療は出来ないとのこと。

食事を確保してあげるのか、治療を続行するのか、癌の部位・状態・進行などを考慮して早めの方向性の決断が必要になるようです。

私の場合も、抗がん剤の投与をやめていれば、もっと早く(腫瘍がより小さいうちに)設置をおこなうことが出来て、胃ろうにすることができのだろうと思います。

<抗がん剤投与費用>

 

抗がん剤1度目投与

副作用が心配ということで、投与日含め5日の入院

処置料

30,000

抗がん剤の料金

点滴留置料

1,800

 

医療消耗品

5,000

 

猫点滴入院

25,000

 

点滴ポンプ使用料

5,000

 

ICU入院管理費

5,000

 

入院管理費

720

投薬・グルーミング

血液検査

3,200

 

静脈注射

2,000

抗がん剤投与後のソルラクト

合計

77,720

 

 

金額の参考にと調べていた段階では、処置等含め30,000円くらいということでしたが(←獣医さんのお話で)、抗がん剤だけで30,000円でした。これを何回も繰り返すと考えるとまとまった金額になると考えられます。

 

放射線療法が化学療法より高いという先入観がありかと思いますが(私だけ?)、化学療法も同じくらい費用はかかるような気がします。(副作用発現時の対処療法は考慮しないとして)

 

放射線療法金額参考:(体重5キロの犬で)週5日間放射で3〜4週間の治療

通院15

入院25

 

<抗がん剤効果>

抗がん剤投与開始時にすでにオペで切除仕切れなかった部分の増殖が始まっていたました。投与後その大きさも変化せず、効いているのかどうか疑問が残るような状態でした。

獣医さんは容量を増やしてもう一度投与してみたいと考えていらしたようです。

1回だけで中止してしまったので効果についてはなんともいえませんが、扁平上皮癌の場合進行性の癌のため、オペから抗がん剤投与までの期間は短いほうが正解かもしれません。


 

チューブ食

私の知識・経験でしかありませんので、間違ったことがあるかもしれません。また、かかっている獣医さんの経験値にもよります。

 

<チューブ食の比較>

鼻チューブ

利点

設置が容易

欠点

チューブが細いため給仕に時間がかかる

食道チューブ

利点

胃ろうに比べて設置が容易

設置時の麻酔も軽いもので可能

欠点

食道炎が避けて通れない問題であり、長期間の設置には向かない

傷口の消毒は胃ろうより注意が必要

ストッパーをつけることが出来ないため、抜けてしまう心配がある

(固定するには首に巻いた包帯などに瞬間接着剤などでするしかないが、包帯を巻きなおす必要が出た場合、チューブも交換となる)

胃ろう

利点

長期間の設置に向く

胃壁側にストッパーが付けられるため、抜けてしまう心配がない

欠点

3つの方法の中で一番設置が容易でないが、内視鏡化での設置が可能であるため、開腹をせず10分ほどの主義で設置可能

傷口の消毒をしっかりと行い、感染症を防がなくてはならない

※食道炎について

食道チューブで食道炎になるのは、チューブの外に付着する食べ物カスによる炎症だそうです。

口から水を流してあげれば、掃除することは出来ますが、(猫の状態にもよるとは思いますが)誤嚥の可能性が大きく勇気の要る方法なので、獣医さん的には進められないそうですし、獣医さんもやってはくれません。(つまり、飼い主の責任でやってもいいよってことです)

嘔吐などした時に、チューブの外側に付着するのでしょう。胃ろうではその心配はありません。

炎症をおこさないように、薬は不可欠ということです。

 

<星史朗が食道チューブを選択したのは>

腫瘍が大きくなってきて、強制給餌をしても、ゴックンするのを苦しがるようになり、チューブ食に切替ることを決めました。

同じ頃、抗がん剤の影響がではじめ白血球数が極度に減少していました。その状態では設置はできないということで、白血球の減少を抑える薬を飲ませ様子をみました。

鼻チューブはエリザベスカラーが必須となりますが、星史朗はカラーをつけると仮死状態になるほど大嫌いで、入院中も何回も自分ではずしてしまっていたため、鼻チューブはこの時点で消去されました。

週間後白血球が正常範囲になったため、早速設置を・・・胃ろうチューブをということで進んで今いたが、実際の手技に入るときに、咽頭の腫瘍が大きくなりすぎていて、使用できる内視鏡がないという問題が発生しまいた。電話連絡があり、@開腹して胃ろう設置 A食道チューブに変更 の2つを提案されました。今更開腹なんてリスクは考えられませんでしたので、食道チューブを選択するということになりました。

 

<食道チューブ設置費用>

胃ろうから食道チューブへの変更のため、2日入院(翌日お迎え)となっています

血液検査

6,600

 

採血・判断料

1,000

 

点滴留置料

1,800

 

猫点滴入院

10,000

 

点滴ポンプ使用料

2,000

 

ICU入院管理量

1,000

 

処置料

35,000

食道チューブの設置料

全身麻酔(小)

5,000

全身麻酔でも簡易のものらしいです(詳細不明)

医療消耗品

4,100

チューブなどの料金

合計

66,500

 

 

 

<食道チューブでの給餌の実際>

自分のベットでのほほん♪としていても台所で食事の用意をしだすと、頭を上げて「ご飯だ★」と言うように待っていました。

30分前

プリンペラン0.4mlあげた後、お水を20ml

(制吐剤をあげるときに脱水予防のお水もあげます)

食前のお薬が胃に入ると、次に給餌する場所(ソファーの上)に行って、待ってたりしました。

D

 

E

C

A

@

B

用意するもの

@クリニケア(30ml)⇒人肌程度に暖める

A猫用ミルク200mlにカロリーアップ3袋を溶かしたもの(30ml)⇒人肌程度に暖める

Bサプリを溶かしたものと薬(造血剤+抗生剤)を水に溶かしたものをあわせる

Cお水2つ

全て1本のシリンジで給餌していたため、お水の前にシリンジ洗浄用のお水と実際に胃に入れるお水(30ml)2つ用意しました

(星史朗に上げるお水は「釈迦の霊泉」というお水を買っていました)

D50%ブドウ糖

元気がないなと感じた時、低血糖を起こしている可能性があるので、様子を見ながらあげました。(3〜5ml/日)

但し、あげすぎると高浸透圧性の下痢をおこしてしますので要注意です。

E50mlのシリンジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


←最初のチューブは胃ろう用のチューブだったので、太くて長さも十分にありました。

 

順番に吸いながら、全て1本の50mlのシリンジで実施

Bの薬をあげる

    ↓

@・Aの食事をあげる

(食事は30mlを15秒くらいで入れる速度で)

    ↓

Cお水(30ml)

(チューブの中を洗浄するため、早めに)

「星さんいくよ!」と声をかけてから、ピューと一気にあげました。  ↓

最後にチューブに0.5〜1mlくらいの空気を入れ、栓をします。(逆流を防ぐため)

 

前の給餌のときの逆流防止用の空気や、逆流してしまった後に入ってしまった空気が抜けるようなら抜いてあげます。

(シリンジを立てて空気をピストン側にあげます)

なかなかうまく行かない時は、そのまま給餌を始めてもいいと思います。猫の様子をよく見ていると、空気が胃に入っていったかどうか分ります。

うまく給餌できているときは、猫は動きませんが、調子が良くないときは、動いて嫌がります。そんな時、星史朗の場合は、シリンジはチューブにつなげたまま一旦中止し、立て抱きをしてあげるとおさまりました。

給餌後も必ず立て抱きをしていましたが、それをするようになってから、吐き戻しは亡くなる前の日の1度きりでした。

 

チューブを吐き出してしまったため、細いものに交換しました。首から3センチくらい飛び出ているだけでした。

給餌の量や順序その他は変化なしです。

みかんとリンゴのお店で作っていただいた洋服です。

最初は胃ろうの予定で注文したのですが、急遽食道チューブに変更になり、お電話したところ、快くポケットの位置を変更してくださいました。

ただ、結局最後までこのポケットは使用しませんでしたが、チューブが短くなって、逆流してくることが多かったので、それを吸ってくれとても助かりました。

また、短いチューブを定着させることもできました。

 

※たくさんあげているつもりでも脱水になるようです。首のあたりの皮膚をつかんでみて、戻りが「くたぁ」となっていたら脱水を起こしているのだそうです。(人間の肌のはりを見るときのような感じ)

 

※釈迦の霊泉:群馬県月夜野町 奈女沢温泉で販売されているお水です。人の場合「癌が治った」という報告があると聴き、取り寄せて試してみました。

 

※チューブの吐き出しと詰まり

首から入ったチューブはそのまま胃に降りているのではなく、咽頭を回って食道に入り胃へとむかっているのだそうです。(獣医さんの手技によるのかもしれません)つまり、喉のところでU字になっているので、チューブが太い場合猫自体の違和感が大きいようです。星史朗の場合、設置の翌日にチューブを吐き出してしまい、本来胃に入っているべき端が口から出てしまいました。これについては獣医さんが「奇跡」と言っていたので、稀な出来事なのだと思います。

そして、その1週間後、その日けっこう元気だった星史朗は80センチくらいの高さのところから飛び降り、その勢いでオエーとなって嘔吐してしました。その嘔吐で、喉のチューブのUの字になっているところが少し浮き出してきたようで、発作のように苦しみだし、30分ほどオロオロしていましたが、何気に口の中をみたらチューブのUの部分が見えたので、私が引っ張り出してしまいました。

星史朗の腫瘍の状態が悪かったのかもしれませんが、オエーという吐き戻しのときの喉の動きは食道チューブにとっては禁忌なのだと思います。

また、ある程度太さのあるチューブだとUの字なっているところで折れてしまい、つまりの原因となるようです。当初の計画では、a/dを水で溶いて給餌するということでしたが、初日で詰まってしまい翌日クラッシュしてもらうために獣医さんに駆け込むこととなりました。

水を流し込むときの感覚をしっかりと覚えて、餌のときの抵抗があまりにもあるようなら、無理せずクリニケアなどの専用食に切り替えたほうが無難だと思います。(カロリーアップ+猫ミルクもクリニケアに比べると抵抗がありました)

 

 

<その他>

星史朗が亡くなる3週間ほど前にエプロンに緑のしみが出ました。

緑膿菌だったのですが、獣医さんにたずねても「緑膿菌だったら処方はしますが・・・」というあやふやな回答。後でわかったのですが、これは例えば検査をして菌の同定をしたとしても、獣医さんからは外注で検査依頼をするため、結果がでるのに2〜3週間かかってしまい、あとどのくらい生きられるのか分らない状態でその検査を行なう必要性を感じてもらえなかったようです。

獣医さんの中でだいたいいつまでというピリオドをうたれてしまっているのです。(性格にもよると思いますが・・・)

職場が病院というラッキーな条件もあり、すぐに検査をしてもらい、翌日には緑膿菌であることを確認し、その翌日にはクロロマイシンを処方してもらい、しっかり効いた薬のお陰で、星史朗はそれまでの、2倍くらい元気になりました。

健康なときには問題にならないような細菌でも、病気で体力が落ちているときには致命傷になったりします。細菌に関してだけでなく、ちょっとした変化を感じて分ってあげられるのは、お世話人である私たちだけなのだと思います。獣医さんは知識も技術もあるけれど、いつもいつもその猫を見ていてくれるわけではありません。私たちが、気づいて猫の代弁者として獣医さんに伝えなければ、何も先に進まないのだと思います。そしてその訴えに対しよりよい方法を一緒に考えてくれる獣医さんでなければ、セカンドオピニオンも考慮したほうがいいのではないでしょうか。